OP戦は参考にならない? シーズンの行方が見えてくるのは「35試合終了時点」

「前年勝率+序盤勝率」で上がる推測の精度

 オープン戦の勝率も、前年度の勝率も、チーム力を計る決定的な要素とはならない。そういった意味では、各チームの実力はシーズンが始まってみなければわからない部分がやはり大きいようだ。

 では、シーズンが始まってどのくらいの期間の情報があれば、チームの実力は見えてくるのだろうか。そこで、1970年以降を対象に、5試合終了ごとの勝率とシーズンの勝率の関係を調べた。その結果が赤いグラフだ。

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シーズン終了時の勝率の見通しが立つのはいつ頃?

 試合数を重ねるにつれて相関係数は上がっている。だが、25試合未満では前年勝率とシーズン勝率の間の相関係数0.51よりも低い。シーズンが始まり勝利を最優先に戦った試合の結果でも、25試合未満という少ない試合数だとその結果にチームの実力が反映されないようだ。

 また、前年の勝率と5試合終了ごとの勝率をそのまま足した数字と、シーズンの勝率の関係を調べてみると、青いグラフのような推移となった。赤いグラフよりは強い相関関係が見られ、40試合付近でほぼ同じレベルになる。25試合未満でも数字は高く保たれている。

 この傾向は、「シーズン序盤の結果からシーズンの見通しを図る」ために活用できそうだ。さらに検討を行い、次のような推測式をつくってみた。

推測される年間勝率=前年勝率×0.3+35試合終了時勝率×0.422+0.139

 1970年から2014年までのデータについては、この式を用いて出した値の±0.05の範囲に67%が収まる。だいたい35試合付近が、実用的な推測が可能になるボーダーラインであるようだ。

 スケジュールを順調に消化できれば、35試合に到達するのはゴールデンウイーク前後となる。その頃には上の式を使って勝率のおおまかな推定が可能になるはずだ。昨年Aクラスに入っていたようなチームがこの段階まで好成績を残していれば、そのままシーズンを戦い抜く可能性が生まれ始めると言っていいだろう。

【参考】2014年の勝率(NPB)

セ・リーグ
1位 .573 巨人
2位 .524 阪神
3位 .521 広島
4位 .479 中日
5位 .472 DeNA
6位 .426 ヤクルト

パ・リーグ
1位 .565 ソフトバンク
2位 .563 オリックス
3位 .518 日本ハム
4位 .465 ロッテ
5位 .450 西武
6位 .444 楽天

【了】

DELTA●文 text by DELTA

DELTA プロフィール

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。http://www.deltacreative.jp

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