メジャーリーグで議論に熱 DH制に統一すべき?

昨季15打点のバムガーナー「ナ・リーグのあり方こそ、野球のあるべき姿」

 さらに、自分の怪我は打撃が原因だったわけではないと声を大にしている。

「ボテボテの打球を捕りにマウンドを駆け下りたり、一塁カバーに入ったり、バント処理をしたりするのと、大差のないこと。アキレス腱が切れるなんて、いつ起きてもおかしくないことだ。医師の話を聞いても、直接の原因はない。腱が特に弱かったわけでもないし、いつでも起こりうること。娘を抱えて階段を上っている時にでも起こる。だったら、娘を抱えて階段を上ることを禁止するのか? 一塁カバーを禁止するのか? バント処理を禁止するのか? それと同じこと。野球はこのままであるべきだ」

 これまで2度のグランドスラムを含む6本塁打を放ち、昨季は15打点を挙げているジャイアンツのバムガーナーは次のように言っている。

「ナ・リーグのあり方こそ、野球のあるべき姿だと思う。DH制に統一するべきだとか、今のままでいいとか、選手の安全を考える上で、そういう議論が起こること自体はいいことだ。それでも、DH制に統一するからといって、問題が解決されるとは思わない」

 1月にもDH制で両リーグを統一するという考えに否定的な見解を示したマンフレッドMLBコミッショナーは、スポーツ専門局ESPNの取材に対し「ある特定の出来事にとらわれ過ぎないようにしたい。両リーグの違いについてファンが興味を持って議論できるということにこそ、DH制の意味があるのではないかと思う」と話している。

 一時的に異論は盛り上がったものの、現在のア・リーグ=DHあり、ナ・リーグ=DHなしという形が近々変わることはなさそうだ。万が一、DH制で統一されたとしたら、それはそれで野球が味気ないものになってしまいそうな気がする。コミッショナーの言うとおり、両リーグ間にスタイルの違いがあることもまた、野球にファンの関心を引きつけている要因の一つなのかもしれない。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

佐藤直子 プロフィール

群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。

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