歴代最多安打記録更新へ 2つの壁乗り越えた明大・高山の本当の強さとは

「開幕戦・東大戦」の意外な難しさと、慶大戦の「高山シフト」

 一見、安打数の上積みには格好の相手のように思える。しかし、トップクラスの選手であるほど、難しい側面があるという。

 明大のような強豪校は優勝に照準を合わせ、オープン戦から社会人チームと対戦する。当然、高いレベルで鳴らした格上の投手が多く、キレのある速球と鋭い変化球に、体も自然と順応していく。

 一転して、開幕戦の東大戦で相対するのは、オープン戦からランクの落ちる投手が多い。150キロ級の速球に慣れてしまった体には、どうしても感覚のズレが生じてしまう。

 高山は1回戦の第1打席で二塁打を放ったものの、以降は無安打。2試合で7打数1安打という不本意な結果にとどまってしまった。

 そして、2つ目が慶大戦の「高山シフト」だった。

 開幕2カード目の慶大1回戦。この日の高山の第1打席で、日大三高時代のチームメートでもある慶大のサード・横尾俊建は定位置から4~5メートル、ショート寄りに立った。極端に三遊間が狭い守備を敷いたのだ。

 これには、慶大の狙いがあった。高山はもともと右方向へ痛烈な打球を飛ばすプルヒッターだった。しかし、プロという卒業後の高いレベルをにらみ、昨年から逆方向にも広角に打つバッティングを意識。三遊間への打球が飛躍的に増えていた。

 元近鉄捕手で、JX-ENEOS監督として都市対抗連覇を果たした名将・大久保秀昭新監督率いる慶大は、この点に注目。「高山シフト」で通常の守備位置なら三遊間を抜けるような打球をサード・横尾が飛びつき、アウトにする場面もあった。

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