イチローは「ラッキーチャーム」 波に乗るマーリンズの強さの秘密は?

イチローが分析するマーリンズの「強み」、結束力も勢いを後押し

 また、先発陣の安定感も向上した。それを支えているのが堅守だ。

 開幕から26試合時点で失策数はナ・リーグ最少の8個。二塁ゴードンと遊撃エチャバリアの二遊間は守備範囲も広く、安打性の当たりを凡打に変えている。プラードの三塁守備も手堅く、外野の3人は広い本拠地球場をしっかりとカバーするだけの守備力を兼ね備える。主に左翼を守るイチローも「それなりの戦力ならそれぞれがそれなりのことをすれば野球になる。(守備力は)強みとして絶対ある。あと、スピードがそこそこにある。それが大きい」と好調の理由を分析していた。

 若い選手が多く、先の塁を狙う積極的な走塁も大きな武器。チームの内野安打数はリーグトップを誇り、凡打を安打に変えることのできる「足」で相手にプレッシャーをかけられるのも強みだ。中でも1番ゴードンは打率4割をマークし、早くも2ケタ盗塁を記録するなど、打線をけん引。ここまでチームのMVP級の働きを見せている。

 そして、チームの結束力も勢いを後押ししている。イチローが通算得点の日本記録を更新した翌日にはホームベースを贈呈され、チーム全員で記念撮影に収まった。レドモンド監督が常々、「素晴らしい性格の選手が揃っている」と話しているように、アットホームな雰囲気がある。

 今後、勢いが止まったときにどう対処できるか。課題のブルペンの整備はどうするのか。フェルナンデスとアルバレスが復帰するまで先発陣は持ちこたえられるのか。真価が問われるのはこれからだろう。だが、ここまでのシーズンをみる限り、ハイレベルなペナント争いが予想されるナ・リーグ東地区で台風の目となる可能性を十分に秘めている。41歳の「ラッキーチャーム」と若きマーリンズの今後の戦いに注目したい。

【了】

伊武弘多●文 text by kouta Ibu

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