リーグトップの得点力誇る日本ハム&DeNA 両チームの“強み”とは

各チームの得点力の源泉は? 3つのポジションで他チームを引き離す日本ハム

 ペナントレースは各チーム約30試合を消化し、今シーズンの戦力の強みや弱みがおぼろげながら見えてきた。さらにチームの戦力を詳しく精査し、打つべき手だてを推察する上で有効なのが、守備位置別に成績をチェックする方法だ。この方法を用いて、攻撃によってもたらされる得点力について精査を行ってみた。

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パ・リーグの守備位置別打撃成績(5月3日時点)

 図はパ・リーグ6チームの1試合平均得点と、出塁力、長打力両面から評価を図る総合的な攻撃指標wOBA(注)を守備位置別にまとめたものだ。先発出場した選手だけではなく、途中出場の選手も守備に就いた上で打席に入った場合は合算している(代打としての打席は加えず)。さらに守備位置ごとにリーグ平均値を出し、それをどの程度上回っているかで色分けした。平均を下回れば赤に、上回っていれば緑になる。

 1試合当たりの平均得点で突出している日本ハムは、守備位置の平均wOBAを20%以上上回る守備位置が捕手、一塁、左翼と3つある。捕手は4割を越える出塁率を記録した近藤健介、石川亮による貢献で他チームを引き離しており、日本ハムの得点力にリードをもたらしていた。

 一塁は中田翔が全打席に立っている。日本ハム以外の一塁手は全体的に数値が低く、今シーズンのパ・リーグは一塁に攻撃力を発揮できている選手がそろっていないようだ。日本ハムはそこに中田を配置して強みをつくることに成功している。

 その上で昨シーズン中田が守ることの多かった左翼には西川遥輝が回り、他チームを引き離す成績を残せているのも大きい。また、西武の浅村栄斗、ロッテのルイス・クルーズらの存在により攻撃力が上昇している二塁でもNPBに復帰した田中賢介が健闘。これも日本ハムの得点力を支えている。中堅、DHでマイナスが出ているが、現状はこれを補って余りある攻撃力を他の守備位置で見せている。

 西武、ソフトバンク、ロッテは平均得点がほぼ同じ。だが得点の源泉となっている守備位置はそれぞれ異なる。

 西武は中堅、二塁、三塁でリードをつくっている。森友哉が全打席立っているDHは平均レベルだが、もし森が捕手に回れば日本ハムに並ぶ強みの守備位置にできるかもしれない。ただし、その場合はDHに他球団と競り合える選手を置き弱みとしない手だても必要になる。栗山巧を配置している左翼が弱点となっているが、実力者だけに改善の可能性はある。一塁もエルネスト・メヒアがおり平均レベル保持はできるだろう。

 ソフトバンクは捕手と二塁、遊撃の内野のセンターラインでマイナスを抱え、それを三塁と外野で取り返すかたちだ。リーグ内で攻撃力が高まっている二塁手間の競争で後れをとっている。

 これらの守備位置は一般的に人材が乏しく、補強や二軍からの戦力の掘り起こしで埋めるのは簡単ではない。ソフトバンクは、シーズンを通してこのマイナスを他の守備位置で補っていく必要がありそうだ。ロッテは二遊間とDHの踏ん張りで得点をつくりだしている。

 オリックスは期待された内野手の攻撃力アップが実現しておらず、楽天は外野手の攻撃力で苦戦している。

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