巨人のGMはなぜ難しいのか GM交代の背景と今後に立ちはだかる課題とは

巨人のGMはなぜ難しいのか

 昨年はフロント主導の補強がことごとく不発に終わっている。その失敗の尻拭いをする形で、原辰徳監督が自らの人脈を使ってなんとか相川亮二捕手や金城龍彦外野手などの獲得に成功した。

「監督の人気だけに頼ってきたんじゃないか? これからはやっぱり二つを分けて、戦力の強化と、その日その日の試合のリード、この持ち分をそれぞれが分けてやれば、もともと強かった巨人がもっと強くなるだろうと思うよ。期待してくれよ!」

 こうした監督頼りの補強に対して、改めて渡辺顧問がダメ出しをして、GMの職制を明確にしたのが、この発言だったわけである。

 巨人のGM制度は2011年に導入され、初代のGMに就任したのが、当時の清武英利球団代表だった。

 このときも現場の指揮権を持つ監督とチームの編成権を持つGMの責任を明確にして、チーム強化を図るというのが目的だった。

 ただ、巨人の難しさというのは、勝利と育成というこの二律背反するテーゼを同時に求められることにある。

 例えばデトロイト・タイガースで働いた経験もある吉村浩GMを中心にメジャー方式のチーム作りを進める日本ハムは、明確に勝負と育成を分離している。その結果、中田翔外野手や大谷翔平投手と投打の柱を育て、若手選手を使いながら伸ばしていくというチームの土壌を作り上げた。ただ、その一方でこの5年間でリーグ優勝は1回、逆に最下位1回を含むBクラスが2回という成績である。

 こうした思い切ったチーム作りの決断をするのがメジャー流GMの仕事なのだが、巨人のように常に勝つことを求められる球団では、どうしても現場の要求を最優先にチームの補強を進めざるを得ない。その間にあるのが日本的な巨人のGMの難しさでもあるわけだ。

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