【緊急連載(中)】東大はなぜ勝てたのか 法大にのしかかった二重の重圧

青木監督「東大さんの『絶対に勝とう』という気持ちが、うちを上回っていた」

 東大は8回から4番手の柴田叡宙が登板。今季9試合目の登板だが、防御率5・30。東大投手陣の中でも、決して安定感があるわけではなかった。イニングを重ねれば、崩れる可能性もある。このまま延長戦に突入し、消耗戦になるのを恐れていたのは東大ベンチだった。

 一方の法大は、宮本に代打を送った時点でブルペンにリーグ戦経験の乏しい1年生投手2人しか残していなかった。スタンドが東大の勝利を期待する“アウェー”のマウンドで本来の実力を発揮するには、難しさもあった。

 最悪、延長12回引き分けでも優勝争いには影響がない。冷静になれば、「引き分けOK」という考えもあったはずである。

 しかし、青木監督は勝負を急いだ。結果、代打・米田伸太郎は三振に倒れて3者凡退。流れを手放すと、延長10回から登板した1年生・菅野秀哉は先頭から連打を浴びて、痛恨の決勝点を献上。菅野は過去1試合、中継ぎで2球を1アウトを取ったことがあるだけだった。

 青木監督は試合後、悔しさをかみ殺すようなコメントを報道陣に残した。

「残念でしょうがないです。東大さんの『絶対に勝とう』という気持ちが、うちを上回っていました」

 法大ベンチ内外の硬さに東大が強い執念でつけ込み、手にした1勝。しかし、2010年秋から4年半負け続けていた裏側では、浜田一志監督ら東大ナインが試行錯誤を繰り返した苦悩があった。

【下編に続く】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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