【小島啓民の目】努力していると言えなくなった瞬間 王貞治氏の生き様物語る“小さなコブ”

技術向上に必要なこととは

 技術向上においては、残念ながら知識を無意識に身体で表現するという境地に達することが重要で、そのためには反復するしかないのです。

 偉大な野球選手、王貞治さんが、日本刀で稲わらを切り、インパクトにおいての力の発揮の仕方を師匠の荒川博さんと体得したという有名な話や、長嶋茂雄さんが畳部屋で畳が擦り切れるほどバットを振ったなどの逸話は我々世代はよく聞かされたものです。そういった意味では、漫画「巨人の星」もある意味、野球界に大きな貢献をしましたね。

 以前、アジア、オセアニア、ヨーロッパ地区の混成チーム対中南米を含むアメリカ大陸チームで戦う世界アマチュアオールスターというものが開催されていました(数回で終わりましたが)。1991年にロサンゼルスのドジャー・スタジアムで行われたIBAFワールドオールスターゲーム。私もその大会に日本代表として参加しましたが、そのアジア地区側の監督が王さん、アメリカ側がハンク・アーロンという凄い大会でした。

 試合内容は、アジア側が負けたのですが、もっとも印象に残っているのが試合ではなく、試合後のロッカーでシャワーを一緒にした際に見た王さんの鍛えられた「ふくらはぎの大きさ」でした。

 50歳になる王さんのふくらはぎは、小さなコブとなっていました。これは、下半身をしっかり使ってのバットスイングの反復で培ったものでした。王さんとお話しした際に、ボールを実際打つ練習も大事だか、空振りを全力で繰り返すことが大切、それによって身体の軸もでき、何より下半身が安定する、と指導されました。

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