日本を去ると決めていた――プロ初勝利を挙げたロッテ・チェンの“恩返し”

6月10日の中日戦で初勝利、人柄も大きな魅力の台湾人左腕

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ロッテ・チェン【写真:長谷川美帆】

 今季からロッテの背番号「49」を背負っている、チェン・グァンユウ。4年間在籍したDeNAを戦力外になり、昨年の秋季キャンプでテスト入団した24歳の左腕だ。

 チームの一員となって迎えた2月の石垣春季キャンプ。「今年の目標はプロ初勝利」と意気込み、慣れない環境で必死にアピールを続けた。その熱い気持ちは首脳陣にも確かに伝わり、キャンプ打ち上げ時には「キャンプのMVPはチェン。新しい風をチームに吹き込んでくれた」と、落合英二投手コーチに言わしめるほどになっていた。

 開幕投手を務めたエース・涌井秀章に続いて、開幕2戦目の先発投手に大抜擢。チームの新戦力として周囲の期待は高まっていった。

 念願の初勝利は、プロ通算5度目の先発マウンドだった。6月10日の中日戦で7回途中5安打1失点の好投。手にしたウイニングボールを嬉しそうに見つめながら、「人生で最高の一日になりました。次もまた頑張ります」と噛みしめるように語った。

 その人柄も大きな魅力だ。台湾出身のチェンは通訳をつけずに日本語で会話をする。理解しづらい言葉があったときは、相手に漢字を書いて表現してもらい、意思疎通を図る。その際に「(日本語を)まだまだ勉強します」と言葉を添える心遣いも忘れない好青年。明るい笑顔が印象的で、選手やチーム関係者、報道陣とのコミュニケーションもばっちりだ。

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