好調投手を支える球種を分析 楽天・松井のチェンジアップは魔球レベル?

ディクソンは2シームでゴロ量産、藤浪はストレートの制球力向上

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ゴロ率高めたディクソン ボール球振らせている藤浪

 投手が投げたボールがどのような結果(ストライクかボールか、出塁かアウトか)につながったか、一球一球追いかけ、球種ごとに整理すると投手それぞれの球種の有効性が見えてくる。この、アメリカでPitch Values(投球価値)(注1)と呼ばれているデータを使って、今年成績を伸ばしている投手について分析してみよう。

 まず、パ・リーグトップ(6月13日現在)の防御率を記録し、不振のオリックスにあって気を吐くブランドン・ディクソン投手について見ていく。今年ディクソンが明らかに伸ばしている数字はゴロ%(全打球に対するゴロの割合)(注2)だ。

 ディクソンは例年この数字が高いが、今年はさらに上昇し7割の打球はゴロになっている。オリックスの内野守備は現在好調で打たせたゴロを高い割合でアウトにしており、このコンビネーションがディクソンの防御率を支えている。

 昨年以上にゴロを打たせているディクソンのピッチングは、何が変わったのか。図のレーダーチャートに示した投球価値は「平均的な投手が100球同じ球種を投げたときに喫すると見込まれる失点に対し、どれだけ少ない失点ですむか」を想定した数字で、その球種の有効性を表している。

 0であれば平均的なレベルの球種、プラスであればストライクを奪ったりアウトになることが多い有効な球種、マイナスであればコントロールがつかずボールとなったり、出塁を許しがちな球種ということになる。

 今年のディクソンはほとんどの球種が平均以上のレベルにある。合わせて投球の8割以上占めるストレート(2シーム含む)とカーブはいずれも昨年を上回っている。軸となる2つの球種はゴロを打たせアウトを稼ぐ武器になっているはずだ。

 阪神の藤浪晋太郎投手は、高い奪三振力を維持。防御率は昨年を大きく下回る2点台前半を記録し、成長の真っ只中にある。

 ストレートとスライダー主体のピッチングは変わっていないが、ストレートが急激に効果的なボールになっている。一方でスライダーはそこまでよい結果につながっていない。

 ストレートが効いているのは、ボールゾーンに投げても打者が振ってきているのが理由と見られる。藤浪のボールゾーンへの投球を打者がスイングした割合は昨年から4%上昇。藤浪に打者が見極めにくい際どいコースに投げる制球力がついた可能性が考えられる。四球%(注3)が下がっているのも、その成果かもしれない。

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