2軍からの昇格組が打撃回復 またも注目される巨人・内田コーチの手腕

「技術屋」と呼ばれるコーチの存在

 なぜそのような指導者が1軍ではなく2軍にいるのかという疑問もあるかもしれない。ただ、野球のフォームは少し変えるだけでも、習得まで時間を要する。その間、試行錯誤を続けるため、結果が出ないことも多く、1軍に出ていてはチームに影響をする。1軍は勝負の世界。調整で出場するわけにはいかない。また、1軍のコーチが担う役割では、技術指導よりも相手投手の攻略方法など、監督の考えを理解した上での戦術指導が多く占める。そのため、強いチームには「技術屋」と言われるコーチが2軍にいる。1軍にいる選手が不振で落ちてきたタイミングですぐに矯正に取り掛かれるようにするためだ。

 もちろん、内田コーチは左打者だけでなく、右打者にもアドバイスを送っている。今年は主力が19日のリーグ再開前に2軍で調整。長野久義は登録抹消はしていないが、2軍戦に出場し、内田コーチの助言を受けた。そして19日から1番に座ると、4打数3安打。20日の試合は5打数3安打と、2試合で9打数6安打の大暴れ。不振がウソのよう。ファームでつかんだ感覚があったのだ。阿部慎之助や村田修一も打撃フォームを変えて、1軍に戻ってきた。阿部も堂上同様に力みのないフォームに。村田もトップの位置を変えている。

 見ている側には微妙な変化で気づかない部分も多いが、そこには選手の大きな決断と勇気、内田コーチの経験が含まれている。原監督も堂上が活躍した時は「ファームでは正しい練習をしているということですね」と岡崎2軍監督や内田コーチの指導に感謝していた。1軍と2軍と一体になることで、低迷する打線がこれから活気づいていくことだろう。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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