強い覚悟で臨むプロ6年目 菊池雄星はいかにして進化を遂げつつあるのか

迷い消えた左腕、金子との投げ合いでも凄み

 股関節主導の動きに務め、菊池にも今までとは違う感触が残っていった。「(入団から)5年間、同じことを繰り返していたが、迷いなく始動できる」と打者との戦いに没頭できるようになった。1軍昇格は開幕から1カ月後と遅れたが、感覚を深めながら上がってきた。

 殻を破ろうとしている。兆しを大きく示したのが6月21日のオリックス戦(京セラドーム大阪)。相対したのは昨季沢村賞の金子だった。

 昨年9月の対戦では7回1失点と好投したが、日本屈指の右腕はそれを上回る8回無失点の投球。“スミイチ”の投手戦を制された。前日20日。今季初対決を前に心構えを口にした。「なかなか厳しい試合になると思うが、粘り強く投げたい。先制点をこっちが取るまで粘れれば、いい試合になると思う。特に立ち上がりに気をつけて乗れれば」。敗戦を教訓に臨もうとした。

 凄みを見せた。すべてが一級品の多彩な球種を操る金子に対し、菊池は直球、スライダー、カーブ、そしてこの日は2、3球程度だったチェンジアップ。厳選された武器だが、相手をねじ伏せた。

 対角線を射抜くクロスファイアの剛速球は最速151キロを計時。今までは絶品のコースに決まっても、以降は続かないこともあった。だがこの日はストライクゾーンにほどよく散らばっていた。適度な荒れ球ほど的を絞れない打者にとって厄介なものはない。「2回の2四球は無駄です」と課題を挙げるが許容範囲だろう。

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