カラバイヨに続くブレイクは? BCリーグからNPBに挑む選手の活躍を占う

カラバイヨの数値の変化に似ているペレス

 阪神に加入するペレスは、6月21日現在BCリーグの本塁打王だ。AA級からBCリーグへ移籍してのスタッツの変化は、パワーを維持しながら三振が減っておりカラバイヨに非常に似ている。ただ、カラバイヨよりもK%が高い。AA級では30.2%にも達している。

 MLB通算という数字になるが、K%が30%を超えていた来日外国人選手は4人いる。

◯メルビン・ニエベス(99年から2年間ダイエーでプレー)
MLB 34.7%→NPB 34.3%

◯フアン・フランシスコ(今年巨人に入団)
MLB 34.4%→NPB 61.1%(6月21日現在)

◯ロブ・ディアー(94年に阪神でプレー)
MLB 31.2%→NPB 33.6%

◯ウィリー・モー・ペーニャ(2012年から3球団で4シーズンプレー)
MLB 30.3%→NPB 24.1%(6月21日現在)

 そうそうたるパワーヒッターが並ぶが、ペーニャを除けば日本でも多くの三振を喫している。ペレスは彼らか、それ以上に三振が多い打者である可能性がある。まずは一軍枠を勝ち取り、持ち前のパワーを披露したいところだろうが、与えられる打席は多くないかもしれない。

 オリックスに加入したチャベスは、6月21日現在BCリーグで打点数4位とよく走者を返している。

 AA級からBCリーグへの移籍前後でISO、K%ともにほとんど変化がない。他の3選手のように長打力を伸ばし、三振を減らすといった変化が見られない。

 もしNPBでも変化せず、過去と同じレベルのISO.150前後、K%20%前後という数字を記録したとする。この数字に近いのは日本ハムの西川遥輝選手など(ISO.145、K%20.4)になる。西川はパワーというよりも選球眼やスピードで勝負するタイプだが、チャベスが活躍するには、そうしたものを発揮する必要があるかもしれない。とはいえカラバイヨがおり、さらにトニ・ブランコ選手の復帰も決まったオリックスで、どんな起用をイメージされているのかは少し見えてこない。

 注意しておきたいのはチャベス、また前述のペレスはBCリーグでも150打席以下の経験しかなく、選手の特徴を判断するにはデータ不足の面もある点だ。

 日本の独立リーグが成熟していくにつれて、NPB球団が外国人選手の補強チャンネルとして目を向けるケースは今後増えていくだろう。独立リーグでの成績をいかに評価するかのノウハウも、より必要とされていくかもしれない。

(注1)K%
打席に占める三振の割合。2015年6月21日現在、NPBではセの平均が18.9%、パの平均が17.9%。

(注2)ISO(Isolated Power)
長打率は単打を放った回数も評価に含んでいるので、そこから打率を引き、純粋な長打を打つ能力を計る能力を抽出して評価する指標。2015年6月21日現在、NPBではセの平が.108、パの平均が.125。

【了】

DELTA・水島仁●文 text by DELTA MIZUSHIMA,J.

DELTA プロフィール

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。http://www.deltacreative.jp

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