先発&中継ぎこなす貴重な存在 ソフトバンク快進撃の裏に寺原の復活あり

先発&中継ぎで安定した投球、今季完全復活遂げた31歳

 ソフトバンクの快進撃を支えている右腕がいる。5試合に先発し、負けなしの4連勝。中継ぎでも5試合に登板し、先発、リリーフ問わず安定感、そして存在感を発揮している。背番号20、寺原隼人である。

 10年目を迎えるソフトバンク恒例のイベント「鷹の祭典」の開幕戦となった6月29日の西武戦(東京ドーム)。先発した武田の後を受け、2番手で7回から登板した寺原が強打の西武打線を相手に、完璧な救援を見せた。いきなりクリーンアップとの対戦だった7回は、浅村を三ゴロ、中村を空振り三振、メヒアを遊ゴロ。8回は森を二ゴロ、脇谷を一ゴロ、鬼崎を右飛に切った。23球のパーフェクトリリーフで、守護神サファテへとバトンを渡した。

 2点差の終盤。ソフトバンクの勝利の方程式通りにいけば、バリオス、五十嵐の出番である。ただ、バリオスの調子が最近は下降気味。五十嵐は4月半ばに今季初登板を迎えたというのに、既にほかのリリーフ陣と変わらぬ25試合に登板している。

 やや登板過多になっていたため、選手のコンディション管理に最大限の配慮をする工藤公康監督は「五十嵐を休ませようと思って、(寺原には)7回くらいを行ってもらおうと思っていた」と、同27日の楽天戦(コボスタ)の先発を雨で流した寺原起用の意図を説明。2イニングを無失点。指揮官の起用に完璧に応えた。

 完全復活を遂げた。昨季は開幕ローテに入りながら、わずか5試合の先発で1勝4敗止まり。慢性的な右膝の痛みを抱えていながらの投球で、4回途中でKOされた4月30日のオリックス戦(京セラD)後に登録を抹消され、5月27日には右膝軟骨損傷の内視鏡下デブリードマン手術を受けた。全治4、5カ月。残りのシーズンを棒に振った。秋季キャンプには投球練習を再開したが、そこからは試行錯誤の日々だった。

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