記録ストップは新たな偉業への序章 西武・秋山翔吾が得た貴重な財産とは

歴史的な記録を射程に捉える秋山、注目浴びた経験を「いかさないといけない」

 7月8日のオリックス戦でも追い込まれた。2打数無安打2四球で迎えた9回の第5打席。守護神の平野佳の外角高め直球、見逃せばボール球に反応した。打球はフラフラと上がりながらも伸びを見せ、左翼席最前列に飛び込む1発で連続試合安打を土壇場でつないだ。

 試合は大敗。だが9回になっても多くのファンが球場に残ってくれた。記録継続に涙するファンもいた。その重く、歓喜に満ちた空気を感じ取った。「記録が途切れるのは仕方ないと思ったが、回ってきたので全力を尽くそうと思った。最後まで(ファンに)いてくださって、少しでも感動してもらえたのならうれしい」。どんな展開でも自分のヒットに喜びを見いだす人たちがいることを知った。

 これから秋山には未知の重圧が待っている。イチロー、青木宣親(2度)、ラミレス、西岡剛、マートンしか経験したことのないシーズン200安打。そしてマートンが持つ年間最多安打の214本。バースが持つ年間最高打率3割8分9厘も射程圏にある。

 最も騒がれるのはイチローが94年に記録した130試合制での210安打を超える瞬間かもしれない。マートンの記録は144試合制のため、イチローは別格と捉える声も多い。後半戦初戦の20日のオリックス戦は4打数無安打に終わったものの、秋山は前半戦の86試合で140本。130試合時点では約212本と、イチロー超えを果たすペースだった。「注目していただいたことは、これからの野球人生でいきていくし、いかさないといけない」。真夏の狂想曲が、秋の歴史的な大収穫祭への序章となるか。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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