驚異本塁打率で1000安打&300号ダブル王手 西武中村はなぜ本塁打量産できる?

本塁打生み出す「バットコントロールの柔らかさ」

 実際に中村の打撃を見ていると、想像しているよりもフルスイングする場面は少ない。軽く打っているように見えて、打球は軽々とフェンスを越えていく。それは“コツを知っている”からだと野口氏は指摘する。

 さらに中村の打撃で特徴的なのが、インコースの球を引っ張っても、打球が切れずにレフトポールの内側に入り、本塁打になる場面が多いことだ。野口氏は続ける。

「ボールを横の位置で考えてください。右打者のインコースにボールが来た時、外からかぶせるように叩くと、左への回転が掛かって打球は大きく切れてしまいます。しかし中村は、インコースのボールに対しても逆回転をかけるように打つんです。本当に微妙なんですが、打球にスライス回転をかけるような打ち方をしています。

 以前、古田(敦也)さんがヤクルト時代、まだ神宮球場が狭かった頃に、ライトスタンドへたくさん本塁打を打っていました。その時に古田さんに聞いたんですが、彼も同じようにアウトコースのボールを少しだけ外側から叩いて、打球にドロー回転をかけて打っていたそうです。だから流し打ちでも切れずにスタンドへ入る。中村のレフトへの打球が切れないのも、同様の理論だと思います。

 ピッチャーはインコースを攻めなければなりませんが、中村の場合、少しでもコースを間違えるとファールにならずスタンドに運ばれてしまいます。これは彼の持つ長所、バットコントロールの柔らかさが生み出したものだと言えますね」

 他を圧倒するパワーに、繊細なバットコントロール。中村は相手から見れば怖い打者なのは間違いないが、パ・リーグの投手たちも手をこまねいている訳ではない。野口氏は、オールスター中断前に行われた、日本ハムとの3連戦にそのヒントがあると指摘する。

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