海外FA権取得の青山などが候補に? 日本版“フラッグディール”はありえない話か

放っておけば戦力バランスは崩れる。限られる“整形”の手段

 プロ野球の支配下登録選手は最大70名だ。投手が30~35名前後、捕手5~8名、内野手12~16名、外野手10~14名というのが一般的な振り分けである。各球団は毎年、バランスに気を配りながら補強をしており、極端にあるポジションを分厚くしている球団は見られない。

 しかし、選手の成長のスピードは等しくない。人数的にバランスをとっていても、放っておけば戦力的なバランスは崩れてくる。複数の同じポジションの選手が一気に能力を発揮して戦力が重なるケースもあれば、他球団と張り合える選手の登場がほとんど見込めないポジションが出てしまったりもする。

 アンバランスを正す戦力の整形は、日本ではドラフトと解雇が主な手段である。だが、確実に戦力化できる選手には限りがあり、年に1度しか開かれないドラフトだけに頼っていては、戦力のバランスを崩したまま長く立て直せないチームも出てくる。フラッグディールのようなトレードは、そうしたチームが差を縮め、リーグ全体の戦力を均衡させる手段にもなるだろう。

 球団の地域密着化が進むなかで、球団によっては地元出身選手を積極的に獲得しファンにその成長を見守ってもらおうという方針も見せている。そうしたスタンスは、当然ながらフラッグディールのような発想と相容れない部分もある。

 しかし、アスリートが短い旬を必要とされた環境でプレーできるのであれば、それは本人にとって大きなメリットであるはずだ。限られた才能の最適活用につながる選手の流動化は、もっと進んでもよいのではないだろうか。(成績は7月26日時点)

【了】

DELTA・高多薪吾●文 text by DELTA TAKADA,S

DELTA プロフィール

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。http://www.deltacreative.jp

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY