西武・高橋光成のプロデビュー戦 同僚、コーチらの証言に見る課題と可能性

渡辺SD「18歳の投球ができるのに25歳みたいな投球だった」

 上体のブレに比例して力のロスも多く、制御しきれていない部分もある。直球は時折、高めに暴れ、2回1死満塁での牧原への押し出し死球のように変化球を引っかけるケースも目立った。もともとは変化球でカウントを取れるタイプで、直球のリズムがつかめないと変化球の割合も増えた。

 同郷の群馬出身で「オリックスの金子千尋のようになれる」と褒めちぎる渡辺SDも「力強く投げていた。でも、もっと押しまくっていい。18歳の投球ができるのに25歳みたいな投球だった」と、みずみずしい姿を期待した。通常の思考ではない緊張感に包まれ、チームも歴史的な苦境に立たされ、攻め一辺倒には難しい状況ではあった。少し冷静になれるマウンドが巡ってきた時の課題になる。

 高橋光は4回途中4失点で初黒星を喫した一戦を悔しそうに振り返った。

「チームの連敗が続いていて、自分が流れを変えられたらいいなと思った。緊張もあったが、思い切り投げられたのは良かった。でも制球が悪くなって、自分で苦しめてしまった。代えられて仕方のないピッチング。腕を振って勝負にいった結果ですが……」

 西武で高卒ルーキーのデビュー戦初登板初勝利は99年の松坂大輔(現ソフトバンク)以来。高橋光は本気で快挙を狙っていた。

 楽天安楽らスター候補の今年の高卒ルーキーで一番乗りで白星を挙げるチャンスでもあった。「1番早く投げて勝ちたかったのが本音。チャンスがあれば、早く勝てるように投げたいです」。再挑戦権は潜在能力を証明したことで与えられた。9日のオリックス戦(京セラドーム)が再演の舞台となる。近い将来、訪れるであろう初勝利を経て、西武の未来のエースとしての階段を駆け上がっていく。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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