通算400二塁打の楽天・松井稼 再び価値高めた右翼守備への適応も“偉業”?

選手としての価値をもう一度高めた松井

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松井稼頭央の攻守合算評価の推移

 守備と攻撃の貢献を合算してみると、コンバートの一定の成果が見えてくる。守備でのマイナスを19点ほど減らし、攻撃での貢献は減少したものの、平均レベルを保つことで貢献量をプラスに持ち込んでいる。シーズンの残りもコンディションに留意しながら起用されれば、もう少し上積みがあるかもしれない。

 注意点としては、右翼手と内野手の間には平均的な攻撃力の差がある点が挙げられる。右翼手のほうが高く、内野手はおおむね低い。それを考慮すると、攻撃時にチームに与える実際のインパクトはもう少し差が開き、その差は8.6点(2014年)から1.0点(2015年)を引いた7.6点よりも大きくなる。

 よって貢献の総量も-9.4点(2014年)と3.0点(2015年)の差である約12点よりも、もう少し小さくなるだろう。だが、差が完全に埋まることはなく、松井選手が昨年を超える貢献を果たしているのは間違いない。

 39歳という年齢で攻撃力を維持し、さらに新たな守備位置に挑戦、その上で守備のマイナスをプラスに転換させたのは偉業といっていい。

 普通のベテランであれば、代打などを務めながら静かに出場機会を減らし、グラウンドを去っていってもおかしくない局面で、選手としての価値をもう一度高めてみせた松井選手は、データの側面からも特別な存在であると評価せずにはいられない。

【了】

DELTA●文 text by DELTA

DELTA プロフィール

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。http://www.deltacreative.jp

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