【小島啓民の目】米国の3連覇阻止が期待されるU-18代表、日本が世界に誇れる精神とは

順当なら決勝進出、高校生年代では世界ナンバー1の日本

 アマチュア野球で行われる試合前の挨拶及び試合後の挨拶のための整列は、他国ではその風習はありません。相手があって試合が成立するわけですから、この相手に対する尊敬の念という日本の良き野球文化を世界に広めることは非常に大切なことであると思います。

 アマ代表監督時代に、日本代表選手は世界の野球を学び、国内に情報発信するという大事な使命があると選手に話したものです。世界の野球を観て、日本の野球の良いところや不足していることを感じとることが代表に選ばれた選手の役割ということになります。

 今大会を戦うプレーヤーは、日本で教わってきた基本が正しいのか、他国のプレーヤーの一挙手一投足に目を配り、次の自分の野球人生に役立てていくという姿勢で臨んで欲しいと思います。他国選手が内野ゴロを捕球する際のリズム感やスナップスローで送球するスローイングは、どこか日本の高校生が行うプレーとは違います。

「ステイバック(後ろにとどまれ)」という後ろ足を軸に回転をする打法理論の中南米方式と、どちらかというと足を大きく上げて投手よりで打つ打法の日本スタイルとでは大きく違います。参加している日本代表チームの選手は将来プロ選手としてWBCに出場する可能性が高い選手ばかりです。高校生の時期にこのように海外の野球に触れ、自分の技術を磨くことは非常に貴重な経験です。勝つことが第一優先ですが、視野を広げ、見聞を広めて欲しいと思います。

 日本の高校生のレベルは、世界の中ではナンバー1だと思います。この年齢であれだけの高い技術力や戦術を持っている国はありません。特に投手力はずば抜けているので、おそらく今大会も順当に決勝まで勝ち上がると思います。

 ぜひ、決勝でアメリカにリベンジして欲しいですね。今大会は、甲子園を湧かせた選手が沢山出場しており、日本開催も重なり、注目度が増しています。日本の野球少年が世界の野球を知る絶好の機会であるとも言えるでしょう。日本のフェアプレーの精神を世界に発信して欲しいですね。私も今大会の運営側(テクニカルコミッティー)として参加する予定です。頑張れ、日本代表!!

【了】

小島啓民●文 text by Hirotami Kojima

小島啓民 プロフィール

kojima
1964年3月3日生まれ。長崎県出身。長崎県立諫早高で三塁手として甲子園に出場。早大に進学し、社会人野球の名門・三菱重工長崎でプレー。1991年、都市対抗野球では4番打者として準優勝に貢献し、久慈賞受賞、社会人野球ベストナインに。1992年バルセロナ五輪に出場し、銅メダルを獲得。1995年~2000年まで三菱重工長崎で監督。1999年の都市対抗野球では準優勝。日本代表チームのコーチも歴任。2000年から1年間、JOC在外研修員としてサンディエゴパドレス1Aコーチとして、コーチングを学ぶ。2010年広州アジア大会では監督で銅メダル、2013年東アジア大会では金メダル。侍ジャパンの台湾遠征時もバルセロナ五輪でチームメートだった小久保監督をヘッドコーチとして支えた。2014年韓国で開催されたアジア大会でも2大会連続で銅メダル。プロ・アマ混成の第1回21Uワールドカップでも侍ジャパンのヘッドコーチで準優勝。公式ブログ「BASEBALL PLUS(http://baseballplus.blogspot.jp/)」も野球関係者の間では人気となっている。

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