【パ覇者の強さを検証する(上)】独走でリーグ連覇のソフトバンク 原動力となった打線が残す圧巻の数字

最もテラス席の恩恵を受けた打者は…

 前後を打つ柳田、李大浩、松田がキャリアハイの成績を残せたのも、4番の重圧を内川が一身に背負ったことによる部分も大きいだろう。キャプテンに任命した工藤公康監督が、優勝監督インタビューで「辛いところを1人で背負い込んでもらった。苦しい思いをしてきたと思う」とその心中を慮った所にも、4番の大きさを物語っていた。

 忘れてはならないものもある。今季から新設された「ホームランテラス」だ。今季、ソフトバンクがヤフオクドームで放った本塁打は72本。スタンドへのアーチは39本、そして、従来のフェンスと最大で約5メートル前に作られた新フェンスの間の「テラス席」へと飛び込んだ本塁打は33本。ほぼ半数近い本塁打が「テラス弾」となり、本塁打増を狙った球団の目論見が当たった。

 特に、その恩恵を受けたのが、自己最多、チームトップの34本塁打を放っている松田だ。本拠地で放った22本塁打のうち、テラスへのアーチが半数を越える12本。柳田(13本中4本)、李大浩(20本中8本)、内川(5本中3本)と比較しても、その数字は飛び抜けている。元来、中距離打者の松田。これまでのフェンス直撃の当たりが本塁打となり、本塁打が出やすくなったことで与えた心理的な側面が、アーチ量産に繋がった。

 13年に最多安打のタイトルを取った長谷川勇也を右足首の負傷でシーズンの大部分で欠いたが、昨季は負傷離脱のあった内川、松田がシーズンを通して健在。離脱者が少なく大きな戦力ダウンを免れたことも大きかった。

 破壊力抜群の攻撃が、その破壊力を失うことなく、シーズンを戦い抜いた。選手個々の好不調の波はあっても、打線全体が不調に陥ることはほとんどなかった。誰かが打てなくても、周りがカバーした。相互補完が成り立っていたことも、強さの秘訣だった。

【中編に続く】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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