斎藤隆が涙の引退 楽天入団は「きっとみなさんの勇気になれると信じて」

「あの日本一は復興を目指す多くの方々と共に踏み出した大きな一歩になった」

 その後、対戦相手のソフトバンク内川、チームメートの則本、松井稼から花束を渡されて抱擁。スピーチの冒頭には、セレモニーを見守ったソフトバンクの選手たちに「この先、大事な戦いが待っているので、風邪引いたりしないようにしてください」と語りかけ、気遣いを見せた。

 自身の野球人生については「この地に生まれ、この体、鍛え上げた先に奇跡があり、苦しい先に栄光があることを学びました」と振り返った斎藤。

「2011年、この東北に悪夢のような出来事がおこりました。自分には何ができるのか、自問自答する日々が続きました。私には野球がありました。ボロボロの体を引きずって皆さんの前で投げることが、きっとみなさんの勇気になれるんじゃないかと信じて、2013年、楽天への入団を決意して、みなさんと共に輝かしい日本一という栄冠をつかみ取ることが出来ました。あの優勝は、復興を目指す多くの方々と共に踏み出した大きな一歩になったと信じています」

 こう話すと、ファンからは大きな歓声が沸き起こった。

 セレモニー後は楽天だけでなく、ソフトバンクの選手やコーチら全員と握手。場内を一周する際には、スタンドによじ登ってファンからの花束を受け取った。周囲への気遣いを忘れず、最後まで斎藤隆らしく現役生活を終えた。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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