日ハムの逆転勝利呼んだ「リリーフ有原」 プロ初救援で好投できたワケ

大学時代の負け数は「12」、原動力となった「負けてきた強さ」

 登板10試合中9試合が救援で、3イニング持たずに7失点したこともあり、2年春まで通算防御率は5点台。好投していた2年秋からようやく投球が安定し、エースへの道を歩み始めた。4年生になってから、有原は当時のことをこのように振り返っている。

「下級生の頃は負けてばかり。でも、あの頃を経験して、リリーフやピッチングの難しさを知ることができたから、今の自分につながっている」

 現役2位の19勝の裏で、実は負け数も同じく2位の12敗を喫していた。だが、短いイニングで味わった屈辱から一つ一つ課題を洗い出し、着実に成長していった。そんな「負けてきた強さ」が、ドラフト1位の称号を掴む過程での成長において、貴重な原動力になっていた。

 あの時に培った経験が、ルーキーながら今季新人最多の8勝につながり、そして救援として絶体絶命の状況を託された、この日の札幌ドームのマウンドでも生きた。ギャンブル的な起用にも、有原は少しも動じている様子はなかった。

「1球目から全力で投げられるように、しっかり準備していった。明日も勝つので、応援よろしくお願いします」

 そう言って大観衆の歓声を一身に浴びた背番号16が、逆転ファイナル進出へ望みをつないだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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