侍ジャパンの則本昂大は“最強の便利屋”!? 準々決勝以降もキーマンの1人に

「いい流れを引き継げるのも彼で、先発が駄目なときは流れを変えられるのも彼」

 本来は先発だが、開幕戦の韓国戦に続いて、中継ぎでも役割を果たした右腕。楽天入団1年目には、日本シリーズでブルペンでもフル回転し、球団初の日本一に貢献した。今大会でも投げる場所を選ばず、持ち味の馬力を生かして貴重な仕事をこなしている。

 そして、その存在が、初代王者を目指す日本にとってこの先も重要になる。

 まだ1次ラウンド最終戦のベネズエラ戦を残しているが、指揮官は「照準は準々決勝。負けたら終わりなので。一番考えたのは投手起用。それがある程度見えてきたかなというのはある」と話した。

 米国戦でも危なげない投球を見せた山崎、増井に加え、メキシコ戦で1点差の9回を締めた松井裕も計算できると見ており、澤村も含めて7回以降の継投のイメージは出来上がっている。

 まず則本が期待されるのは、その前の役割。小久保監督は「第2先発というより、今回は中(継ぎ)で、と考えていた。先発ピッチャーのいい流れを引き継げるのも彼で、先発が駄目なときは流れを変えられるのも彼」と言う。

 準々決勝以降では、先発が崩れて悪い流れになった場合に早い段階で食い止めないと、取り返しがつかなくなる可能性がある。リードした展開でも、則本が控えていると考えれば、先発は立ち上がりから飛ばしていける。さらには、大谷と前田に準々決勝と準決勝を任せ、決勝で則本を先発起用するというプランも考えられる。

 どんな状況で送り出しても最高の投球をして、ベンチに戻ってきてくれる。短期決戦で、“最強の便利屋”とも呼べる右腕の存在はあまりにも大きい。世界一への鍵を握る男は、いつでも期待に応えられるように準備を整え、マウンドに上がる瞬間を待っている。

【了】

清水友博●文 text by Tomohiro Shimizu

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY