崩れた「勝利の方程式」 それでも守護神は不動「同じ場面でも松井でいく」

所属球団でクローザーの山崎、増井は結果を残しているが…

 大会開幕当初、指揮官は「(一発勝負の)準々決勝の時(まで)につなげるピッチャーを見極めていきたい」と、1次ラウンドで勝ちパターンの継投を模索する考えを明かしていた。松井裕は開幕戦(8日)の韓国戦では5点リードの9回に登板し、いきなり3連打を浴びながらも無失点。さらに、2点リードでマウンドに上がった3戦目(12日)のドミニカ共和国戦では、先頭打者をセーフティーバントで出しながらも、後続を併殺に打ち取って得点を与えなかった。

「ヒットは打たれてますけど、点は取られてないので」と小久保監督は評価。この日の起用でも分かる通り、クローザーは松井裕に決まったが、シーズンで2敗しか喫しなかった左腕が準々決勝を翌日に控えてついにセーブ失敗。不安を露呈した。

 一方で、所属球団でクローザーの山崎康(DeNA)、増井(日本ハム)は、大会に入ってから抜群の安定感を見せている。最終回のマウンドと違いはあるかもしれないが、特に増井は相手につけいる隙を与えない快投を続けてきた。31歳という年齢や、プロでの豊富なキャリアを考えると、日本ハムの守護神を一番後ろに据えるというプランがあってもおかしくない。

 ただ、ベネズエラ戦後、指揮官は今後のプランをはっきりと明言した。

「明日(準々決勝)も同じ場面でも松井でいきます。それは変わらない」

 20歳の左腕に大役を任せるプランに変わりがないという。

 一時は逆転を許したものの、チームの連勝が止まらなかったことは若き守護神とっては救いとなる。松井裕は「これから負けられない試合になるので、少しでも戦力になれるように。明日も使ってもらえたら、勝ちに貢献できるようにしたいです。逆転してもらって、気持ちが楽になるということはないですけど、気分が変わる部分もあるので」と前を向いた。

 ベネズエラ戦では「勝利の方程式」が崩れたが、小久保監督の信頼は揺らいでいない。松井裕がこれを意気に感じて、クローザーの仕事をやり遂げることができるのか。プレミア12初代王者へ向け、大きなポイントの1つになりそうだ。

【了】

清水友博●文 text by Tomohiro Shimizu

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