正捕手不在、遊撃手、1・2番… DeNAが最下位に沈んだ理由【野手編】

正遊撃手の理想は「中日時代の井端」、正捕手は「安易な方法を選んでしまった」

 正二塁手の石川、正中堅手の荒波が1年通して活躍できず、2008年に石井琢朗(現広島コーチ)がチームを去って以来、未だに正遊撃手を固定できていない。

「ショートはしっかりと守れる選手じゃないとね。理想のショートは中日時代の井端だと思うんで。ロングが打てればそれに越したことはないけど、本当に理想のショートといったら井端だと思うんです。そういう選手が出てこないかなと思うんですよね。難しいんです」

 今季は開幕スタメンをルーキーの倉本が勝ち取った。しかし、102試合に出場して打率.208。守備面では定評があっただけに一定の出場機会は得たが、打撃で結果は出せなかった。ライバルの白崎も81試合で打率.225。守備力で高い評価を得ている山崎憲は25試合で打率.103だった。

 野口氏は「打てばいいというポジションでもないし、守りさえできていればいいっていうポジションでもないですからね」と言う。現状のDeNAは一長一短、または攻守ともにレベルアップが必要な選手がスタメン出場を続けており、課題であることは明確だ。今年はドラフト3位で「しっかりと守れる」選手である国学院大・柴田竜拓を指名。ルーキーも含めて、戦力向上が必須のポジションとなっている。

 そして、同様に深刻なのが捕手事情。昨年は黒羽根が109試合に出場し、打率も.264と結果を残したが、今季は嶺井が74試合で最多出場。続いて高城の64試合で、黒羽根は63試合のみの出場に終わった。野口氏は「去年1年間よくても、次の年ダメだったというのはやっぱり本物の実力じゃなかったということ」と振り返った。

 固定しきれない捕手事情については「本当に育てよう、本当に何年か後にチームを強くしようとするならば、誰をそうするのかしっかりと素材を見極めて、間違えさえしなければ、我慢して使うべき」としながらも、「ただ、それをバックアップする存在がいないんでね」とも指摘。「新沼コーチが開幕前から『経験豊富なベテランがバックアップで控えていてくれないと厳しい』と言っていましたが、そういう選手がいないのできついですよ」。ベテラン不在の現状は、若手捕手の育成のために一つの障害になっているとの見方を示した。

「ちょっと使ってみて、いいから続けて使ってみようとか、ダメだからやめようとか、そういう安易な方法を選んでしまったかなと。本物の起用方法として使えなかった」

 3つ巴の捕手争い。首脳陣には1年間通しての意図を持った起用も必要かもしれない。

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY