去就決定前から米国内でも注目高まる前田、MLBで好成績を残せる可能性は?

国際大会で高い対応力を見せてきた前田、抜群のコントロールとともに鍵となる球種

 広島・前田健太投手の去就に今年も注目が集まっている。侍ジャパンのエースでもある右腕は、昨年に続いてメジャー移籍を希望。今オフも球団に対してポスティングシステム(入札制度)の利用を申し入れたと、多くのメディアが伝えている。

 すでに米国内の報道も加熱しており、広島がメジャー移籍を容認した場合、複数球団による争奪戦になるとも予想されている。では、前田が海を渡った場合、好成績を残せるのだろうか。

 現役時代にはヤクルト、日本ハム、阪神、横浜と4球団で捕手として活躍し、現在はMLBの試合を中心に解説者を務める野口寿浩氏は、2つの球種をポイントとして挙げる。「カーブが鍵。あとはスプリットを投げてほしい」。いずれも、前田が最近は投げることが少なくなったボールだ。

 前田の直球は150キロを超えるが、当然ながら、メジャーでは決して速い方ではない。「向こうならば、マックスで95マイル(約153キロ)くらいですよね。アベレージで92~93マイル(約148~150キロ)くらいになるのかな。スピードだけで考えると、そんなピッチャーはメジャーにはゴロゴロいます。本当に“並”なので、スピードだけならちょっと厳しい」。日本では、相手をねじ伏せるような投球を見せることもあるが、それは出来なくなるだろう。

 ただ、広島のエースには抜群のコントロールがある。しかも、ボールやマウンドの変化に苦しむ日本人投手が多い中、2013年のWBCや今年の「プレミア12」など、国際大会で高い対応力を実証済み。MLB移籍前のダルビッシュ有や田中将大らより、安定した投球を見せていた。

「(メジャー公式球が使われたWBCや日米野球では)ボールには対応していたな、という感じがしますね。田中はいまだに対応できていない部分がある。そういう意味では前田の方がメジャーに順応できるのではないかなと。今のコントロールがそのまま出せれば、いい結果を残せると思います」

 そして、その抜群のコントロールを生かすのは、カーブやスプリットだと野口氏は分析する。

「コントロールがいいので、カーブとスプリットをうまく使えたら、先発ローテーションの4番手以内には入れる。あのカーブは、例えば中間カウントでカウントを取りにいったら、メジャーのバッターはなかなか打ちに来ないですよ。フルカウントからならば、真ん中の甘いところでいいので、カーブを投げたら見逃し三振をたくさん取れますよ」

 メジャーでは、カーブを狙ってくる打者は極めて少ない。ダルビッシュが大きなカーブで見逃し三振を奪う場面を見たことのあるファンも多いはずだ。カウントを整えるためにも使えるため、多くの日本人投手が海を渡ってから多用し始める傾向にある。

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