人気拡大へ―MLB試される本気度 17年WBCで米「ドリームチーム」結成なるか

来年WBCで「ドリームチーム」結成できるか、問われる本気度と手腕

 もちろん、日々開催されるメジャーリーグの公式戦は大事だし、各球団のオーナーやGMが選手の怪我を懸念する気持ちも分かる。同時に、自分の将来のキャリアを考えて、代表選出を辞退する選手の気持ちも分かる。だが、野球というスポーツそのものの人気拡大を図る上で、WBCに代表する国際大会が果たす役割やインパクトの大きさは無視できないだろう。

 世界最高峰リーグと言われるメジャーリーグで活躍する一流選手たちが、どれだけ素晴らしいプレーを見せるのか。五輪競技に野球が含まれない現在、野球人口・人気拡大を図る舞台として、WBCを活用しない手はない。そういう意味では、侍ジャパンを定期的に招集する日本プロ野球界の方が、球界が一体となって野球人気拡大に向けて本腰を入れた活動をしているのではないかと思う。

 昨年11月に開催されたプレミア12では、メジャー40人枠に登録されている選手は出場できない、という通達が出された。アメリカ代表には3Aや2Aの選手が選出され、当然のごとく、アメリカ国内ではまったく話題にならなかった。WBCで同じ通達が出されることはないが、過去3回同様「ドリームチーム」が結成できないとなれば、注目が高まることはない。

 各球団オーナーやGMを説得し、アメリカ代表のみならず各国代表が「ドリームチーム」を結成できる下地を作れるのか。そここそが、コミッショナーの真の本気度と手腕が問われるところではないかと思う。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

佐藤直子 プロフィール

群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。

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