ロッテ・ナバーロ容疑者逮捕に思うこと トラブルを未然に防ぐために

過去にネルソンが3か月の出場停止処分、ナバーロは?

 もちろん、日本では拳銃所持が違法であり、実弾すら持ち込むことができないとルールがあることに、最大限の注意を払わなかったナバーロに非はある。だが、ナバーロが意図的に実弾を持ち込んだわけではないことは明らかだ。持っていたのは実弾1発だけ。さらに、故意に持ち込んでいたのであれば、手荷物検査で見つかるようなショルダーバッグではなく、別の場所に“隠し持って”いただろう。

 おそらく、ドミニカで普段使いしていたバッグの中に実弾を入れっぱなしにしていたことを忘れて、そのまま持ち込んでしまったのだろう。ドミニカからキャンプ地石垣島へ移動した時は、アメリカ経由でやって来たとしても、ドミニカを出発する際に一度手荷物検査を受けるだけ。経験上、ドミニカの手荷物検査は日本やアメリカほど厳しい印象はない上、野球選手の場合、VIP用の入り口を利用できるため、ほぼノーチェックで手荷物検査を終えることができる。物事に対しておおらかなドミニカの気質が、今回ばかりは裏目に出てしまったようだ。

 ドミニカ人選手の実弾所持と言えば、2010年に当時中日に所属していたマキシモ・ネルソンが同容疑で逮捕され、中日は3か月の出場停止処分を科した。ナバーロの場合も当然ロッテが自主的に出場停止処分を科すことになるだろうが、気になるのは出場停止処分期間の長さだ。3か月戦列を離れたネルソンの例が基準となりそうだが、ネルソンは先発投手で、ナバーロは野手という違いもある。毎日出場する野手であれば、1か月もしくは1か月半くらいが適当なのかもしれない。

 いずれにせよ、こういった異文化が生み出す不運をなくすためにも、球団や代理人らは選手により具体的なアドバイスを事前に送る必要があるし、選手自身も基本的な(特に法律に抵触する可能性がありそうな)文化や風習の違いを予習する必要がありそうだ。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。

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