プロ野球観戦で健康に!? パ・リーグが始める異例の試み、その狙いは?

2016シーズンからスタートさせる「パ・リーグ ウォーク」とは

「プロ野球コンテンツを活用して、日本の社会にもっと貢献できる取り組みはないかな? 今までにはない新しい考え方で」

 パシフィックリーグマーケティング株式会社(PLM)の代表取締役社長、村山良雄は昨夏にマーケティングの責任者である根岸友喜氏にこう問いかけた。

 その数日後に根岸氏は、出張でボストンにいた。MLBボストン・レッドソックスの球団職員である吉村幹生氏に紹介されて訪れたのは、ハーバード公衆衛生学大学院のイチロー・カワチ教授の研究室である、ソサエティアンドヘルスラボ(SHL)。テーブルの向かいには、研究員である林英恵氏と鎌田真光氏が座っていた。

 2人とも日本人で初対面。根岸氏には当初、「ハーバードの方々と何を会話するのかな」との疑問もあったというが、約2時間の会話の後、「それでは、パ・リーグ6球団で“国民みんなの健康を実現する取り組み”を一緒にやってみましょう」と方向性が定まっていたという。

 パ・リーグ6球団とPLMは、2016シーズンより「パ・リーグ ウォーク」という取り組みをスタートさせる。“国民みんなの健康を実現すること”をビジョンとして掲げて、“歩く行為を習慣化させること”をゴールとする試みだ。そのツールとして、プロ野球(パ・リーグ)ならではのゲーム化要素を盛り込んだスマートフォンの歩数計アプリを活用する。

 この「パ・リーグ ウォーク」は、全てのスマートフォンに対応しており、ファンは一度アプリをダウンロードすれば、後は自動的に歩数が計測される仕組みになっている。ファンはまず自分が応援する球団を選択。日常的な利用では、「本日の歩数はダイヤモンド何周分です」と表示が出たり、応援する球団の選手が画像で「今日はたくさん歩いたね!」などと呼びかけてくれる。試合日の利用では、応援する球団ごとにファンの合計歩数を競ったり、合計歩数の順位を表示したりする。(※1)

 根岸氏は「そのような取り組みにより、従来は健康的なイメージがなかったプロ野球観戦行為を、健康的な行為へと置き換えることができます。プロ野球観戦といえば、ビールや唐揚げなどのイメージがあり、あまり健康的なイメージはないと思います。でも実はプロ野球観戦行為は健康的なんですよ、というのが今回の活動でのファンへのメッセージです。具体的には、試合観戦日にファンはたくさん歩いています。例えば、自宅から最寄り駅、最寄り駅から球場と。球場に到着してからも自分の座席に着くまでや、飲食購入時やトイレなど、結構な距離を歩きます。実際に、私が仕事で西武プリンスドームへ行った際は、その日の歩数は12000歩でした」と話す。

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