プロ野球観戦で健康に!? パ・リーグが始める異例の試み、その狙いは?

「社会的にも大きなインパクトのある取り組みになるのでは」

 成人男性の1日の平均歩数は7000歩程度らしいが、確かにそれを大きく上回っている。今回の取り組みのポイントは、試合観戦するだけでかなりの距離を歩く(試合観戦≒健康的)ことにファンに気付いてもらうこと、さらに、日常や試合日での歩く行為を習慣化させて今まで以上にアクティブになってもらい、再度試合観戦に来てもらうサイクルを回そうとしていることだ。

 また、球場を訪れていないファンも、アプリを通して球団とつながり、楽しみながら自然と健康になる仕組みを作ろうとする点も新しい。

 運動と健康の研究を長年続けて、現在はSHLに所属する鎌田氏は期待を込めてこう話す。

「世の中には健康になることを目的とした、たくさんの歩数計や活動量計、アプリなどがあります。でも、それらを利用する人は限られており、さらに運動を習慣化してもらうことは本当に難しい。そして、ただ“健康のために歩こう”と訴求しても、運動不足の方々には響きません。

 今回のパ・リーグとの取り組みは、これまでの健康増進施策とは全く異なり、プロ野球コンテンツを使うことで、パ・リーグファンの皆さんが楽しみながら自然と歩いてしまう仕組みを目指しています。ファンの皆さんには20-40代といった若い世代や男性が多く含まれます。こうした層は、国や自治体等の健康増進施策で全くアプローチ出来ていなかった層です。パ・リーグファンの数や昨今の伸びを考えると、社会的にも大きなインパクトのある取り組みになるのでは」

 また、今回の取り組みで得られる実証データは、今後のSHLでの学術研究に活用し、日本の社会がもっと活動的になるように示していくという。そのデータのエンジンを開発しているベンチャー企業KiNE Inc.のファウンダー平山太朗氏は、「今回のパ・リーグでの取り組みが社会的・学術的にも成功するようであれば、プロ野球以外のコンテンツにも展開していきたい」と語る。

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