選手の評価や観戦にも影響 「データ」が球界にもたらすもの

グラウンド外にも波及するデータ

 グラウンド内で、データは指揮官の采配や選手起用に1つの物差しを提供する。一方では、グラウンド外でも新たな企画や取り組みをする上で、ヒントを与えてくれるのもデータだろう。

 球場に足を運ぶファンの男女比率や年齢をデータとして集計し、今後の球団戦略に各球団が生かしている。ファン層を分析することでターゲットを絞り、女性や子供ファン獲得に向けた特定のイベントを開催することで、ファン層の拡大を図っているのだ。

 新たなるファン層拡大へ、埼玉西武ライオンズは早稲田大学との共同研究で高齢者施策としてスポーツ観戦の導入を検討している。貴重なデータを蓄積することによって、球団にとっては新たなファン層の開拓、そして高齢化社会が急速に進む国にとってもスポーツが新たな解決策となるか期待したいところだ。

 またチケットの販売方法にもデータは活用されている。需要と供給のバランスによって価格を決める「ダイナミックプライシング」をメジャーリーグ球団の多くが取り入れている。対戦相手、その日の天候、試合開催の曜日などの条件によって、チケットの販売価格を変動させ、売り出しているのだ。パ・リーグでもすでに、東北楽天ゴールデンイーグルスや福岡ソフトバンクホークスが取り入れている。

 そしてプロスポーツ球団に欠かせないのはファンクラブ。チームに愛着を持ってもらい、「公式」ファンへ任命する目的もあるが、ファンのデータ蓄積の要素も担っている。さらにはクラブ会員限定のポイントサービスを作り出すことによってファンの販売促進を促し、さまざまなデータ取得を目指す。CRM(顧客管理データベースのシステム)を入れて、ファンの情報をしっかり球団として自分たちのものにしていくことは、少子化が進む日本ではさらに重要性が増していくはずだ。

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