ヤンキース・キャンプ地に「禁煙の相談乗ります」の張り紙 MLBタバコ事情

メジャーでタバコ規制は進むのか

 先述のグウィン氏が逝去した際、当時コミッショナーだったバド・セリグ氏とメジャーリーグ選手会のトニー・クラーク専務理事は、将来的にはメジャーリーグからタバコを排除したい意向を示した。実は、健康問題の他にも、メジャーリーグではタバコ会社とはスポンサー契約を結んでいないため、無償の宣伝効果になるような扱いは避けたいというビジネス上の事情もあるとされている。

 諸事情を踏まえ、今年12月に更新される新たな労使協定の中で、無煙タバコの使用について何らかの規則が設けられる可能性は高い。マイナーリーグでは1993年から無煙タバコの使用が禁止されていることもあり、メジャーリーグもその例に続くことができない理由はない、というのが大方の見方だ。

 アメリカでは、一般的にタバコに対する規制が厳しい。例えば、シカゴではレストランやバー、ライブハウスなどでは、店内での喫煙が禁止されている。そのため、愛煙家はいったん店の外に出て、そこに設置された喫煙コーナーでタバコを吸わなければならない。空港でも建物内で喫煙できることは珍しく、ほとんどの場合が建物外に出なければならない。こういった世間的な風潮も、メジャーリーグに少なからず影響を与えていると言えるかもしれない。 

 各都市の規制を受けて、今後メジャーリーグがどのような形でタバコに関する規制を設けていくのか、気になるところだ。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

佐藤直子 プロフィール

群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。

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