選抜高校野球 卒業アルバムに書いた約束

友人のマスク姿に感じた成長

 離れて暮らしている2人だったが、連絡は取り続けていた。井上が帰省すれば一緒に出かけた。電話では甲子園に一緒に出られて、対戦できればいいな、と話していた。そして、夢は叶った。2人は抽選で対戦カードが決まるまでそわそわしていたが、いきなり、初戦で激突したのだった。

 迎えた試合では、井上はケガの影響でベンチスタート。藤井は先発の吉高壮投手を好リードし、日南打線を封じていった。井上は藤井のマスク姿に時の流れを感じた。「うまくなった。雰囲気が出てきた」と。

 最後はその藤井が試合を決めた。サヨナラスクイズだった。

 井上は投手を諦めたわけではない。試合後、話をした。藤井から「背番号1、取ってこいよ」と言われ、約束した。今度会う時はマウンドと打席で対面する。2人に新しい目標が生まれた。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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