第2の故郷・熊本のために…ロッテ香月良の決意「ボクになにが出来るのか」

「お世話になって励ましてくれた人たちが今、どうなっているのか…」

 母体はスーパー。だから大学を卒業すると、正社員としてスーパーに出勤しながら、夕方から野球をする。そんな日々を始めた。配属されたのは熊本県内の菊陽店。朝7時に仕事場に入る。お惣菜担当として、コロッケやカラアゲを揚げ始める。長い時で8時間。大体、午後3時ぐらいまでその仕事をこなした。

「ハードなスケジュールだったかもしれませんが、それが日常で充実した日々でした。コロッケも普通に揚げていた。コツも覚えましたし。安売りセールの日なんて、600個以上、売れる。どんどん揚げないと間に合わないんです」

 同じ店舗には3人の野球部員が配属されていた。お惣菜担当として、エプロンを付け、コロッケやカラアゲを元気よく揚げた。野球部員には勤務中に特別、ユニホームに模した背番号とネーム入りの専用コスチュームが用意されていたこともあり、お店の常連のお客さんなどに応援される存在となっていた。それは地元である熊本県民に愛される存在になって欲しいという企業理念から、チーム名に企業名を入れていない事からも分かる。地元の人たちから応援され、愛されるチームだった。

「地元の人に本当に支えられた。常連のお客さんから『明日、試合見に行くよ』と声を掛けてもらった。お昼は大体、近所のおばあちゃんが『野球、頑張りなよ』って、お弁当を作ってくれるんです。お世話になって励ましてくれたその人たちが今、どうなっているのかと思うだけで胸が痛む。本当に苦しいです」

 熊本で多くの人に支えられて今がある。そしてアピールする舞台をもらえたという感謝の思いがある。2年目の都市対抗予選敗者復活戦で強豪のJR九州戦にて先発。1-0で完封勝利すると、次の日産自動車九州戦ではリリーフ登板し、見事、都市対抗出場を決める原動力となった。日本選手権も初出場に導く活躍をし、3年目にはエースとして都市対抗に出場した。強豪チームを抑える姿は徐々にプロのスカウトの目にも留まるようになった。そしてマリーンズに指名された。

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