第2の故郷・熊本のために…ロッテ香月良の決意「ボクになにが出来るのか」

熊本への感謝を忘れたことはない、「もし一瞬でも辛い思いを和らげることができれば」

 プロ入りして8年。昨年はセットアッパーとして安定感ある投球で、1軍40試合に登板し、結果を出し続けた。それは、これまで携わったいろいろな人の想いを胸に、与えられたこのチャンスを逃すまいと必死に、ガムシャラにボールを投じた結果だった。今も昔も熊本への想いと感謝を忘れたことは一度もない。

「少ないチャンスをなんとかものにしようと思うようになったのは熊本で野球をやってから。今の自分の原点。あの日々がなければ今はありません」

 そんな熊本が、そして古巣が苦しんでいる。当時のチームメート、そして熊本ゴールデンラークスの監督に電話で現状を聞くと、頭が真っ白になった。市内にある本店は窓が壊れ、中はグチャグチャになったと聞かされた。もちろん、チームの活動再開の目途は立っていない。JABA岡山大会に出場中だったが、棄権。目標としている都市対抗も辞退の可能性が高い。部員たちはそれぞれの店舗で、危険防止用の緊急の措置として野球のヘルメットをかぶりながら復旧作業に追われている。

「みんな苦しんでいる。野球どころではないのが実情だし、会社も厳しい状況。仕事がなくなるかもしれない。そんな中でボクになにが出来るのか。それは支援をすること、野球で頑張る事と熊本の現状を訴え続ける事だと思う。みんなこれからが大変。それを忘れないで欲しい。人それぞれで支援の仕方は違うと思いますが、これからが本当に苦しいので今後も支援を続けて欲しい」

 香月は涙目でカメラの前で訴え続けた。今は遠い空の下から願い、訴え続ける事しかできない。そしてマウンドで熊本を想い、必死に投げ続けるだけだ。

「野球を頑張ることで、もし一瞬でも辛い思いを和らげることができれば、ボクがこの仕事をやっている意味がある」。

 背番号「42」は強い決意と必死のメッセージを白球に込める。なにかが少しでも良くなればと思い、願う日々だ。

(記事提供:パ・リーグ インサイト

【了】

マリーンズ球団広報 梶原紀章●文 text by Noriaki Kajiwara

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