2943安打のイチロー、“唯一無二”のスイング 米専門家は「穴を射抜く打撃」

イチローの打撃は「絶対にコピーしたり、真似しようとしてはいけない」!?

 テレビ画面左下に“イチメーター”が飛び出す。通算安打のカウンターが2942から2943本となると、解説者のマーリンズOBの元外野手プレストン・ウィルソン氏はうなるように話し出した。

「ビンテージ、イチローだ。スイングし、ボールが叩く。ヒットになる程度に深くまで飛ばします。穴を射抜くようなバッティングです」

 昨季、レジェンドのスピード感溢れる好走塁に「イチローイング」と新語を生み出したウィルソン氏は、安打製造機の華麗な打席に感嘆。そして、スイングの途中で打席から走り出すようなイチローの打撃のオリジナル性について、言葉を続けた。

「多くの人が美しいスイングについて議論を交わしますが、私はうんざりしています。このスイングは効果的なのです。自宅のソファーに座りながら観戦している人にとっては多くの美しいスイングがあるでしょうが、これがいいスイングなのです。何故なら機能しているからです」

 ウィルソン氏がこう語ると、実況担当も同調する。

「このようなスイングをする選手はイチロー以外に他にいません。つまり、正解は一つではないということですね。イチローのスイングは他の人に教えることができません。彼はスイングの過程で足の方向に頭を動かします。これは打撃コーチなら何があっても、絶対にコピーしたり、真似しようとしてはいけない、と言うでしょう」

 そして、イチローへの愛情を隠そうとしないウィルソン氏は、レジェンドがオリックス時代にもスイングについて指摘を受けることがありながら、独自のスタイルを変えなかったことを紹介しつつ、「その結果、日米通算4000本安打。つまり機能しているのです」と評価した。イチローは自分の流儀を貫いた結果、現在の高みに至ったと分析している。

 メジャー通算3000本金字塔に近づくイチローだが、アメリカの解説者や地元メディアはそのスタイルに魅了され、敬意と愛情の深さをメジャーファンに伝えている。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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