真逆の考えだった本塁打王の高校時代 T-岡田、山田哲人が過ごした3年間

山田が変わったある出来事、「メンタルが変わった方が技術は一段と進歩する」

 一方の山田はどうだったか。岡田監督は同校からプロを何人も輩出している。プロ向きかどうか見極める眼を持っている。山田については、能力が高く、才能を認めていた。ただ、プロに行ける力は十分にあるものの、野球に取り組む姿勢はプロ向きではないと思っていた。ある時までは・・・。

 大阪では山田よりも同学年のPL学園・吉川大幾(中日→巨人)の方がプロのスカウトからは注目されていた。山田はチームの主力としては申し分のない働きを見せていたが、岡田監督はどこかで物足りなさを感じていた。だが、2年秋のことだった。岡田監督が進路を問うと、初めて山田の口から「プロ」という言葉を耳にした。はじめは全く興味を示していなかったが、突然、意思表示をしたという。

 しかし、岡田監督は首を縦には振らなかった。「今のままでは無理だ」。技術は高くても、意識が低かった。ところが、プロはそんなに甘くないと伝えると、山田の目の色が変わった。

 岡田監督は「野球の技術練習よりもメンタルが変わった方が技術は一段と進歩するもの。なんぼ、プロに行ける才能があったとしても、考え方ひとつで一気に伸びる。反対に言えば、考えてないければ、伸びるわけがないと思う」と言う。山田の練習のペースも変わり、貪欲な姿勢になった。プロに行ける体と心が備わっていき、今の活躍に繋がっている。

 プロになりたいー。恥ずかしさから口に出すことに抵抗がある選手もいるかもしれない。だが、そんな心構えでは夢は叶わない。プロは強いハートを持っている者が活躍できる舞台なのだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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