五輪コーチにプロ球団のスカウト部長…千葉黎明の指揮官が持つ異色の経歴

なぜ高校野球部の監督に?

 その後、教員免許を取得し、2011年夏に千葉黎明高校の監督に就任。大学や社会人で日本一を経験している名将は、生まれた地に近い千葉・八街の高校でどうして白球を追いかけるのか。荒井氏も高校野球に魅せられた一人だった。

 五輪や社会人などアマ球界、プロの世界も見てきたが、どうしても高校野球の聖地・甲子園で野球をしたいという夢が、何歳になっても捨てられなかったという。スカウトで何度も甲子園に足を運ぶたびに思いは強くなっていたのだろう。2011年の初采配は千葉大会2回戦で敗退。生徒と同じくらい試合にかける思いが強く、敗戦に涙を流した。

 いくつになっても挑戦することを忘れたくない。就任から5年が経った。当初は甲子園出場も遠い夢の世界だった。しかし、選手と向き合い、野球だけなく人間形成を重視しながら、野球を伝えてきた。そして、この春の千葉県大会は準優勝。チームに手応えを感じている。

 野球部員だけでなく、指導者も夢見る甲子園。強豪ひしめく千葉県で、新しい風を吹かすことができるか、注目したい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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