足りなかった「最後の1ピース」 東大14年ぶり勝ち点へ不可欠な“最速右腕”

実現しなかった2本柱の揃い踏み

 愛知・西春高時代は無名ながら、2浪して東大に合格。高校時代、141キロだった最速は148キロまで伸びた。昨春にリーグワースト記録の連敗を94で止めた法大戦も先発し、4回1失点と力投したのも山本だった。投げっぷりの良い剛腕に、プロのスカウトも注目していたという。

 当然、浜田一志監督も「1戦目・宮台、2戦目・山本」の2本柱構想を温めていた。周囲の期待も高かったが、まさかの故障に苦しんだことが計算違いとなった。

 右肘痛を発症し、開幕戦からベンチにも入れず。懸命に調整してきたが、最後まで思うように回復を見せられず、春は中継ぎで1イニング投げただけ。2本柱の揃い踏みは実現しなかった。スポーツにおいて「タラ・レバ」は禁物だが、山本がいれば、タイプの異なる左右の両腕で、さらに他大学の脅威になっていたのは間違いないだろう。

 それでも、山本にとってラストシーズンとなる秋が残されている。推薦制度を持たない東大が、同時に2人もプロの注目を集める投手が在籍することも、そうあることではない。両腕が万全ならば、東大史上最強の投手陣を構築することも可能になる。

 もはや、東大が勝つことが「珍事」ではなくなった。秋こそ悲願の勝ち点獲得へ、まずは夏の鍛錬を積む。赤門軍団の再挑戦が、スタートする。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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