異色経歴持つ指揮官が感じた小さな成長 強豪へ一歩近づいた春

エースに「心の成長を感じる」

 荒井監督は春の関東大会を終え、千葉に戻った。エース・川口の成長を感じ、静かに喜びを感じていた。

「精神的な成長があったと思います。ピンチでも表情、態度に出さなくなった。一人相撲もなくなった。バックを信頼して打たせるという心の成長を感じます」。ムキになって、力勝負にいくことはなくなり、ピンチの場面でも粘りが出てきたという。

 他からみれば、当たり前のことで、小さな喜びなのかもしれない。しかし、これが荒井監督が高校野球というステージで求めてきたひとつだろう。

 バルセロナ五輪ではコーチとして銅メダルを獲得。社会人野球や大学で日本一になった同監督が高校野球の指導者になったのは「自分の経験を伝えたい」とまだまだ多くの可能性を秘める高校生に高いレベルで知った野球の知識を伝え、成長を見届けたいから。指揮官は、それが野球への恩返しでもあると考えている。

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