なぜ甲子園で「台湾デー」? 台湾人選手のいない阪神が開催した理由

台湾人旅行者の更なる増加を目指す甲子園、「たくさんの人に野球観戦を楽しんでもらいたい」

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映画「KANO」に出演した永瀬正敏さん、陳永欣さんらによるトークショー【写真提供:阪神甲子園球場】

――より多くの台湾人旅行者を阪神甲子園球場に呼び込むために、どんな戦略をお考えですか?

「先月(2016年5月)、台湾の台北・高雄で行われた旅行博に、『台湾デー』にもご協力していただいている台湾のLCC『タイガーエア台湾』と同じブースで出店し、阪神甲子園球場としてチケットを販売しました。今後も私たち『阪急・阪神ホールディングス』全体で力を入れていきたいと思っています。阪急交通社でツアーを組み、梅田のHERBISや六甲山に行ってもらい、野球を見てもらうということも考えています。ジェット風船を飛ばすのを楽しみにしている台湾人の方も多いので、たくさんの人に野球観戦を楽しんでもらいたいと思っています」

――台湾からもチケットは購入できるのでしょうか?

「私たちが運営している『甲チケ』システムを利用して、ホームページから直接購入できるようになっています。昨年から中国語にも対応していますし、カード払いも可能なので、試合が中止になっても返金がスムーズにできます。来年以降、いかに案内していくかが課題です」

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永瀬正敏さんも始球式に参加【写真提供:阪神甲子園球場】

「台湾デー」のスポンサーである台湾のLCC「タイガーエア台湾」は、この「台湾デー」に合わせ「台北-関西空港」の4便と「高雄―関西空港」の1便で客室乗務員が阪神タイガースとのコラボレーションで制作したユニフォームを着用。さらに、試合観戦者に航空券を抽選でプレゼントするなどのキャンペーンを実施した。「タイガーエア台湾」のCCO、アイリーン・フアンさんは「阪神タイガースは台湾でも人気があるチーム。映画『KANO』が公開され、台湾でもよく知られています」と話し、今後も甲子園ツアーを組むなど協力していく予定だという。

 15日には映画「KANO」に出演した永瀬正敏さん、陳永欣さんらがトークショーや始球式を行うなど、球場は台湾ムード一色となった。プロデューサーの魏徳聖さんは「台湾と日本は、地震の際などにお互い助け合うが、悲しいことではなく野球という共通の文化で親交を深められたら」と語った。

 セ・リーグの球団で初めて行われた「台湾デー」。映画をきっかけに、さらに台湾からの来場者を増やし、日本の野球に興味をもってもらえるか。阪神甲子園球場の今後の戦略に注目だ。

【了】

篠崎有理枝●文 text by Yurie Shinozaki

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