最終目標の3連覇へ―ソフトバンクの首位独走を支える工藤監督の“みる”目

常にコンディションを気遣う、選手を“看る目”と“診る目”

 工藤監督は、選手のコンディションに人一倍、気を遣っている。そこには「1日でも長く現役としてユニフォームを着続けてほしい」という29年間現役であり続けた“先輩”としての思いと同時に、「ベストなパフォーマンスができる状態で試合に臨んでほしい」という指揮官としての思いが交差している。さらに、筑波大学大学院で学んだ外科系スポーツ医学の知識をフルに生かし、「どこか悪い部分がないか」「どうすればより高いレベルのパフォーマンスが発揮できるか」といった“看る目”を駆使していく。

 試合中に足がつった牧原大成や城所龍磨には「もっとマグネシウムを摂りなさい」と指示し、強化指定選手に指名した東浜巨や千賀滉大ら若手投手陣に課しているトレーニングに関しては、時間が許す限り自らが“監督指示”を徹底している。

 また、牧原が内野ゴロで足から一塁ベースに滑り込み、転倒しながらも安打にしたシーンについては、つい“親心”が口をついた。

「気持ちは買うけど、ケガをしたら何にもならない。勝ちたいという気持ちから出たとっさのプレーということは理解するけど、あそこでケガしちゃったらここまで頑張ってきたことがパーになっちゃうからね」

 時にはファーム本拠地である筑後にも出向き、リハビリに励む選手たちの状況を“診る”。的確なアドバイスをすると同時に、選手たちにはこう伝えるという。

「何がどう悪くてリハビリ組に入ってしまったのか、今やっているトレーニングメニューの目的は何で、それをやり続けることでどうなるのか。それは自分自身で考えないといけないよ」

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