「当てたら何か起きる」 打撃不振の広島會澤、9連勝呼ぶ同点タイムリー

9回土壇場で同点打、捕手目線で「プレッシャーがかかる場面。気持ちが優位に立てた」

 26日の阪神戦で、広島の會澤翼が土壇場の9回2死から同点タイムリーを放ち、その後のサヨナラ勝ちにつなげた。今季は打率2割台前半と打撃不振が続いていたが、「これがきっかけになればいい」と安堵の表情を見せた。

 1点を追う9回裏、1死満塁の場面で、會澤の前の打者の下水流が見逃し三振に倒れていた。「下水流がああいう形で三振に取られていたので、あいつの分までという気持ちはあった」という會澤は、カウント1-2と追い込まれた後、ファールで粘って6球目を三遊間へ打ち返した。「まっすぐかチェンジアップというには頭にあった。当てたら何かが起きるだろうとは思っていた」と、起死回生の一打を振り返った。

 最後に安打を放ったのは5月28日。実に25打席ぶりのヒットだった。會澤は「僕にとっては、ヒットよりもフォアボールの方が大きかった」と、最初に同点に追いついた5回の四球に言及した。その後、再び勝ち越しを許し、打線は阪神先発・岩貞を前に、8回までわずか1安打に抑えられた。それでも會澤は「ピッチャーが疲れてくる頃だと思っていたので、いけると思った」と反撃を確信していた。

 最終回の攻撃については、「今の流れを作っているのは(鈴木)誠也」と、チャンスを広げる安打を放った後輩の名前を挙げた後、「こういった雰囲気にしてくれるのは、ファンのおかげ」と、満員のスタンドに感謝した。

「バッテリーとして考えても、すごくプレッシャーがかかる場面だと思ったので、その意味では気持ちが優位に立てた」と、捕手らしい観点で殊勲打を振り返った會澤は、「先発が降りた後、ピッチャーがよく投げてくれた。最少失点で抑えてくれた」と、投手を褒めることも忘れなかった。

【了】

大久保泰伸●文 text by Yasunobu Okubo

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