野球に「恋に落ちた」ブラジル人 日本文化で育ったメジャーリーガーの夢

リオ五輪の問題に心痛める、「無事に開催されることを願っている」

 多くの子どもがサッカーボールで遊ぶ文化にあるブラジルで、日系人コミュニティーで育ったゴームズは友人に誘われて始めたベースボールに「恋に落ちた」と言う。日系人コーチの指導から「練習と準備の大切さ」を学び実力をつけた。日系人の奥さんの影響もあり、日本に対して特別な思いを抱いている。

 2020年の東京五輪で野球の競技復活の可能性があることについても「チームが許可してくれれば、もちろん出たい」と前向きに話す。「私は日本文化の中で育った。初めて日本に行く機会が、オリンピックになれば最高だ」と思いを馳せる。

 さらに、来年開催予定のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に対しても特別な思いを抱いている。2012年に予選会でプレーし、「サッカーのブラジル代表選手の気持ちが分かったような気がした。生涯忘れることのない特別な経験だった」と語る。予選会はシーズン中に行われるため出場できないが、「もし本戦出場が決まれば、もちろんブラジル代表としてプレーしたい」と意欲を示す。

 また、ゴームズはジカ熱や治安の不安からNBA選手やプロゴルファーらのリオ五輪出場辞退が相次ぐ事態に胸を痛めている。健康面を案じる選手の心情を理解できると前置きした上で、「私はアメリカに住んでいるので詳しいことは言えないが、知人からの話を聞く限り、ブラジルの人々はジカ熱についてそこまで不安を抱いていないようだ。オリンピックは世界中の人々が手を止めて注目するイベント。全ての人々が不安なく楽しむことが第一だから、治安と健康面の問題を解消して無事に開催されることを願っている」。

【了】

伊武弘多●文 text by kouta Ibu

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