【高校野球】伝統校・横浜高の変革 平田新監督が目指す「自主性を育てる野球」とは

「日本人の奥ゆかしさは、スポーツの世界では美徳にはならないと思います」

――生徒の自主性を育てる意味でも、シートノックでミスがあった時に監督が直接注意せず、生徒同士が話し合って解決することは、いい取り組みだと思います。

「気を付けていても、監督から選手って、どうしても一方通行のコミュニケーションになりがちなんですよね。そんなキツく言っているつもりはなくても、生徒の返事は『ハイッ!ハイッ!』って軍隊みたい。こうなると返事をすることに精一杯で、話の内容を聞いていないんですよ(笑)。

 彼らも基本的なことは分かっていても、仲間や指導者への遠慮から言葉や行動に出せないことがある。でも、テーマは自立。だから、僕を気にせず、自分の思ったことはどんどんやるように言っています。高校生でも大学生くらいの自立心や精神年齢に達してもいい。よほど変な方向に行きかけたら声を掛けるけど、そうでない限りはどんどん表現するように伝えています」

――失敗を恐れずに挑戦してみよう、ということですね。

「そうですね。失敗から学ぶこともある。ありとあらゆる面で、どんどん殻を破って、自分を出してほしいですね」

――世界の舞台に出ると、日本人は基礎はしっかりしているが、創造性に乏しいと言われることがあります。

「そうなのかもしれませんね。人前でモジモジしちゃうとか、自分の個性を自分で認められないとか。よく言えば、日本人の美徳なのかもしれない。でも、そういう奥ゆかしさは、スポーツの世界では美徳にはならないと思います。国と国のボーダーラインがなくなりつつある時代だからこそ、優れた個性をどんどん出していくことは大事でしょうね」

――そういう取り組みをすることで、野球に限らず他の場面でも、選手たちは自分も知らなかった才能や一面に気付くことがあるかもしれません。

「伸びしろは無限ですから。特に高校生くらいの時は」

(続く)

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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