【高校野球】作新学院vs花咲徳栄を振り返る

花咲徳栄打線で輝き放った楠本

 作新学院の先発、今井は5点先行で楽に投げられた。1回に140キロ台後半のストレートをがんがん投げ込み、最速は創志学園の高田萌生に並ぶ152キロまで達する。3回までに奪った三振は5個。このままいけば15個くらい取れるかなと思ったが、4~6回に2個しか奪えなかったのは花咲徳栄打線が狙い球を絞り始めたからだろう。

 ストレートにタイミングが合う選手が多い中、腰砕けのハーフスイングが多かったのがカットボールだ。今井のカットボールは135~140キロのスピードで真横に変化する藤浪晋太郎(阪神タイガース)タイプ。途中までストレートと同じ軌道できて、打者近くで大きく横にスライドするので、ストレートに狙い球を絞った花咲徳栄各打者は曲がり始めた時点で腰砕けになる。この現象は最後まで続いた。結果、作新学院が6-2で準々決勝へと勝ち上がった。

 花咲徳栄でよかったのは5番楠本晃希(3年)で、2回に二塁打、8回にソロホームランを放ち、三塁打が出ればサイクル安打達成という活躍だった。3番手でマウンドに上がった高橋昂もよかった。相手が今井だったのでこれ以上の失点は許されないという緊張感と、ライバルと投げ合える喜びが折り重なり、雑念が消えたのだろう。今大会で最もよかったことは確かで、それなら最初から投げて屈指の投手戦を展開してほしかった。

(記事提供:高校野球ドットコム)

小関順二●文

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