人の心を動かせるようなプレーをしたい――ロッテ平沢を突き動かす「大志」

「うまくいかないことも多いけど、それをしっかりと受け入れて前に」

 だから、プロの壁にぶち当たっても、弱音を吐かなかった。5月に初昇格も、快音を奏でることなくわずか10日で抹消。1軍のスター投手たちの前に、手も足も出ずに凡打を繰り返した。2軍に戻ると、強いスイングを意識し打撃練習を繰り返した。朝から夜までスイングを繰り返した、遊び盛りの18歳は休日もほとんど寮を出ることなく、野球に打ち込んだ。

 それでも、不安にさいなまれることはあった。そんな時は高3夏の県大会を前にかけてもらった仙台育英高校の佐々木順一朗監督の言葉を思い出した。それはもし最後の夏に県大会で敗れ、甲子園に行けなかったらどうしようという、当時思い描いていた不安を力に変えてくれたメッセージだった。

「不安がなかったら、人は頑張れないぞ。不安があるから、努力をする。成長をしようとする。今、不安を抱えているのなら大丈夫。きっとうまくいくよ」

 周りはマリーンズを背負う逸材と褒め称えてくれる。時にはそれが重荷に感じることだってある。そんな不安な思い、1軍での挫折、プロ野球選手としての「大志」が平沢を奮い立たせた。

 初ヒットをキッカケに何かが変わった。17日から21日まで5試合連続安打。20日の西武戦(西武プリンスドーム)では、本塁打まであと少しというフェンス直撃のプロ初適時打を放った。「1本出て、気持ちが楽になったのかもしれない。余裕が出てきたと思う」と手ごたえを口にした。今シーズンは残り30試合。残された舞台は少ないが、そこで2年目に向けた確かな感触を残し、首脳陣にアピールすべく毎日を必死に過ごす決意だ。

「一日一日を大切に、目標を持って過ごしていきたい。うまくいかないことも多いけど、それをしっかりと受け入れて前に進んで、その結果として勇気を与えられるようなプレーができればと思う」

 将来を渇望される大型内野手が今、プロの第一歩を踏み出し、歩みを始めた。その物語が今後、どのような展開が待っているのかは誰も分からない。ただ、そのプレーを通じて、感動を伝えたいという「大志」を持つ若者が作り出す物語はきっと我々の想像を超える、素晴らしいストーリーとなるに違いない。時には山あり谷あり。それを乗り越え、成長し、マリーンズをけん引する存在となるはずだ。

(記事提供:パ・リーグ インサイト

【了】

マリーンズ球団広報 梶原紀章●文 text by Noriaki Kajiwara

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