元捕手が考えるバレンティンのバット直撃 注意すべきは打者か、捕手か

捕手心理では「ワンバウンドを止めにいくときは前に行くしかない」

 ワンバウンドのボールが来た時、捕手が前に出て止めようとするのは“必然”だと野口氏は指摘する。

「キャッチャーの心理としては、ワンバウンドを止めにいくんだから下がれないですよ。監督・コーチからは『危ないから下がれ』と言われることもありますが、止めにいくときは前に行くしかない。これを『下がれ』とは、経験者としたら言いにくいですね。下がりすぎると、ショートバウンドがハーフバウンドになってしまいますから、より捕球が難しくなります。ワンバウンドする球は、多くの場合が変化球なので、どこに弾むかわからない。できるだけ前で押さえたくなるのがキャッチャーの心理です。

 ピッチャーとしても、人によってはキャッチャーが50センチ下がって構えたときに、的が遠くなって投げづらく感じる可能性もあります。様々な意味で、キャッチャーが下がるのはリスクがあります。だから、バッターが気をつけるしかないんです。中日が意見書を出しましたが、気持ちはすごくわかります。そうやって防ぐしかないんですよ。キャッチャーからすると、自分では防御しようがなく、さらに頭をバットで殴られるんですから。あのようなスイングをするバッターは、使わないでほしいですよ」

 頭部にバットが直撃すれば、選手生命の危機どころか、命に関わるような重症を負う可能性もある。実際に、杉山は頭頂部から流血する事態となった。野球では、頭部に衝撃を受けた選手が、脳震盪の後遺症で成績を落とすことも少なくない。

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