山崎武司氏が見る燕・山田の本当の凄さ HR打者との「決定的な違い」とは

山崎氏も驚く「天才的」な打ち方とは…

 そして、山崎氏がさらに感心するのは、山田のインコースをさばく技術だ。これこそが他のホームラン打者と大きな差をつけている部分だと力説する。

「やっぱりインコースのさばきがうまいよね。どっちかというと、ホームランバッターはインコースをさばくのが下手くそなバッターが多い。俺なんかもそうだった。でも、哲人はインコースに(ボールが)来てもクルッと回れる。その打ち方は天才的なものがある。

 アウトコースはみんな打つんや。でも、インコースが打てない。哲人はインコースを打つからね。例えば、去年の日本シリーズの千賀から打ったホームランとかさ。あんなのもクルッと回れるでしょ。普通は回れないから。ああいうところが天才的だよね」

 昨年の日本シリーズ第3戦。山田はソフトバンクの先発・中田から2打席連続本塁打を放つと、1点を追う5回2死一塁の場面では、当時中継ぎだった千賀からも逆転2ランを放った。148キロの内角高めへの直球を完璧に捉えた打球は左翼席へ着弾。1試合での3打席連続本塁打は日本シリーズ史上初だった。この偉業を完成させた一発にこそ、山田哲人の「天才的」な能力が凝縮されていたという。

 もちろん、山田がさらにスペシャルな存在となっているのは“足”があるから。本塁打を打ちながら、ハイアベレージを残す選手はいたが、本塁打を量産しながら盗塁でも球界トップクラスの数字を積み上げるプレーヤーはいなかった。昨年の本塁打王と盗塁王の同時獲得は、史上初の快挙だっただけに、山崎氏も「あんな選手は過去にいなかった。足が速くてホームラン王なんて初めての話だから。今年は3冠とは言わず、長打率とか、安打数とか、あらゆる部門で1位になってほしいね」と期待を寄せる。

 まだ24歳。来年以降も毎年、歴史を塗り替えるような活躍を続ける可能性は高い。山田はいったいどこまで進化するのか。末恐ろしい選手であることは確かだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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